だいぶ前の話だけど、「運命の人」がドラマ化されたのを
受けて、澤地久枝さんの「密約 外務省機密漏洩事件」
という本を読んだ。

この本の本筋とは少しずれるけれども、この本のなかで
澤地さんが以下のように書いている文章があって、心
ゆさぶられた。心にとめておきたくて、ここに残しておく。

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真っ白くて汚れのない人生、
そういう人生も世の中にはあるのかもしれない。

しかし、四十年生きれば四十年の汚れと疲れのある人生のほうが
私には身近に感じられる。

人さまざま、過去もあり裏切りもあり、きれいごとばかりでは
すまない人生を生きて、そういう過去の暦の上に、現在どんな
姿勢で立っているかが問題なのだと思う。

どんな過去があろうとも、それはそれで、誰が石をぶつける
資格などあるだろうか。

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真っ白くて汚れのない人生に、私は憧れない。
それは、これまで自分に積み重なってきたものを、
人生を、自分自身を、見ない、というだけに過ぎないと思うから。

きれいごとばかりではすまない人生、というのは
大なり小なり、誰もがそうだと思うから。

好きこのんで汚れる必要はないけれども、
20代、30代、40代、50代といろんなことを体験して、いろんなもの
を見て、いろんな感情を味わっている自分を捨てるのはもったいない。

生きるということや、自由ということについて、
まだまだ言葉にならないけれど、

「人さまざま、過去もあり裏切りもあり、きれいごとばかりではすま
ない人生を生きて、そういう過去の暦の上に立っているんだ」という
言葉に、何か自分の底からふっと湧いてくる力を感じた。

コメント

redeye-yan
2012年7月19日0:55

澤地さん…(・ω・。)某動画サイトに、澤地さん原作の密約映画の動画ありました…(・ω・)ノ今もあるかな。たしか吉行和子さんが秘書官?役…。澤地さんは良い意味で視線が低いし、女性側をけして人格無視したイロモノ扱いしない誠実さ、みたいなところが素晴らしいと思います。同じ女性の作家だから女性を蔑視しないかと言えば世の中そうじゃないので…。澤地さんは今も密約訴訟に参加されてるみたいです。

キラキラ☆
2012年8月8日22:19

redeye-yanさん、コメントありがとうございます。澤地さん原作の密約映画もあるんですね。「運命の人」も、かなり「密約」を参考にしているんじゃないかという感じでしたが。見てみたいです。

「密約」のなかでも触れられていましたが、澤地さんも、作家の仕事をするなかで「女性だから」ということでいろいろな見られ方をしたり、差別的な言われ方をした経験をたくさんお持ちのようです。そのなかで、女性としてこうあってほしい(人としてこうあってほしい)という思いが育まれ、女性に対する誠実な眼差しをつくっていったのかなと思います。何はともあれ、時代を超えて、励まされました。

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