心にとどめておきたいこと。
2012年7月18日 日常 コメント (2)だいぶ前の話だけど、「運命の人」がドラマ化されたのを
受けて、澤地久枝さんの「密約 外務省機密漏洩事件」
という本を読んだ。
この本の本筋とは少しずれるけれども、この本のなかで
澤地さんが以下のように書いている文章があって、心
ゆさぶられた。心にとめておきたくて、ここに残しておく。
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真っ白くて汚れのない人生、
そういう人生も世の中にはあるのかもしれない。
しかし、四十年生きれば四十年の汚れと疲れのある人生のほうが
私には身近に感じられる。
人さまざま、過去もあり裏切りもあり、きれいごとばかりでは
すまない人生を生きて、そういう過去の暦の上に、現在どんな
姿勢で立っているかが問題なのだと思う。
どんな過去があろうとも、それはそれで、誰が石をぶつける
資格などあるだろうか。
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真っ白くて汚れのない人生に、私は憧れない。
それは、これまで自分に積み重なってきたものを、
人生を、自分自身を、見ない、というだけに過ぎないと思うから。
きれいごとばかりではすまない人生、というのは
大なり小なり、誰もがそうだと思うから。
好きこのんで汚れる必要はないけれども、
20代、30代、40代、50代といろんなことを体験して、いろんなもの
を見て、いろんな感情を味わっている自分を捨てるのはもったいない。
生きるということや、自由ということについて、
まだまだ言葉にならないけれど、
「人さまざま、過去もあり裏切りもあり、きれいごとばかりではすま
ない人生を生きて、そういう過去の暦の上に立っているんだ」という
言葉に、何か自分の底からふっと湧いてくる力を感じた。
コメント
「密約」のなかでも触れられていましたが、澤地さんも、作家の仕事をするなかで「女性だから」ということでいろいろな見られ方をしたり、差別的な言われ方をした経験をたくさんお持ちのようです。そのなかで、女性としてこうあってほしい(人としてこうあってほしい)という思いが育まれ、女性に対する誠実な眼差しをつくっていったのかなと思います。何はともあれ、時代を超えて、励まされました。